北ア南部前衛 大明神山 2011年2月26日

所要時間 7:02 林道−−7:14 尾根に乗る−−7:28 893.5m三角点−−9:24 大明神山 9:30−−10:28 893.5m三角点−−10:34 尾根を外れる−−10:42 林道

概要
 東尾根末端の八景山地区から登る。尾根上は標高1400mくらいまで松茸止め山となっており無断入山禁止の警告看板多数あり。あらぬ疑いをかけられぬよう雪のあるシーズンに登るのが得策。標高1300m以上で雪が連続して道の状況は不明だが、それ以下は明瞭な踏跡あり。山頂は唐松植林帯でいくつかの石碑と小さな社あり。展望無し

旧波田町から見た大明神山、穴沢山


 大明神山は以前から気になっていた山だった。もちろんその名前が理由であり、同名の山が毛勝三山にあってそこは残雪期に登っている。松本の大明神山は旧波田にあるので雪深いとは言えず、無雪期の植生は笹があるのか無いのか微妙な位置だ。ただ、先に登ったDJF情報では八景山から上がる東尾根は松茸止め山とのことで、トラブル防止のためには藪の有無に関係なく積雪期が安全と考えた。関東では本格的に花粉飛散が始まった2月末でもまだ松本周辺は飛び始めたばかりで、雪があればほとんど花粉は無いだろうと考えた。

ここから歩く 許可証の有効期間のご案内

 久々に金曜夜に出発し梓川SAで仮眠、今はここにスマートICができたのでみどり湖PAではなくずっと近い場所で仮眠できるので便利になった。明るくなって行動を開始し、国道を西に向かうと雪が舞い始めた。残念ながらまだ冬型の気圧配置が続いているようで晴れるのはいつだろう? 下山する頃に晴れるかな。新淵橋からUターンするように八景山に入ろうとしたら県道が通行止めで逆戻りして丸田経由で西に向かう。釜ノ沢手前で右斜め上に分岐する林道に入る所には茸止め山の警告が書かれていた。でもこの時期なら松茸のまの字も無いだろうから大目に見てもらおう。林道が分岐する場所に車を置けるスペースがあったのでここから歩くことに。後から調べたらDJFは私と同じではなく東尾根南側の車道から登ったようだった。地図を見るとどちらでも同等の労力だろう。

斜面に取り付く 獣道で南にトラバース

 細かい雪がしんしんと降り続く中、アイゼン、ピッケル、スノーシューを持って出発。道路には雪が残っているが斜面にはほとんど見えない。さてどこまで登ると雪が出てくるだろうか。斜面に取り付いて杉林を少し登るとえらい急な登りになり、このまま直登は苦しいので地形図を広げて尾根は左手(南)にあることを確認し、獣道を伝ってトラバース気味に上がっていく。大した藪ではないのですぐに東尾根に出ることができ、帰りのために目印を残した。

尾根に乗る。最初から赤松林 明瞭な道

 尾根上と南斜面は赤松林であり既に止め山の領域であった。尾根上には明瞭な踏跡があり、どこまで道があるのかは分からないがしばしそれを辿る。正式な道ではないのでたまに尾根上は潅木が邪魔して南を巻く箇所もあったが、笹は無いので大きな問題ではなかった。ただ、気温が低くて降った雪が枝に積もっており、潅木に突っ込むと体に雪が付いてしまうのがイヤだった。でも気温はここで-3℃くらいで衣類に雪が付着しても全く溶けずに濡れなかった。冬はこの点は助かり、防水が弱くなった登山靴でも濡れないのも大助かりだ。

893.5m三角点 893.5m三角点より穴沢山方向

 最初の肩は893.5m三角点がある場所で4等三角点だった。東方向のみ視界が開けて穴沢山方向が見えていたが山頂は雪雲に隠れていた。こっちもこのまま標高を上げるとガスの中に突っ込むことになりそうだ。本来なら視界が無くなるのは下山を考えると怖いことだが、雪の上に足跡が残る今の時期なら問題無し。ただ、本当に雪が出てくればの話だが。まだこの付近だと北側にほんの僅かしか雪はない。

尾根を進む 日当たりの悪いところだけ雪あり
木々が白くなってきた 凹んだ廃道

 再び登りにかかると尾根上には凹んで広い溝のようになった道形が現れるが倒木で塞がれたりしてほぼ廃道だ。凹んで日当たりが悪いので溝の中だけ雪が残っており、乗ると足首ほど潜って無雪の地面より疲れるので溝は避けて南側を登っていく。少し潅木がうるさい場所もあるが雪の上を歩くよりはいい。ピッケルで枝に積もった雪を叩き落しながら歩く。体に付着する雪が増えてきたし相変わらず降雪が止まないのでゴアの上着を着た。

50万の達筆警告標識 荷造り紐

 1212m肩を通過して傾斜が緩むと「50万達筆看板」の登場だ。1個だけかと思ったらいくつも連なっており、尾根直上北側には荷造り紐が流してあった。徐々に積雪が現れ始めたがまだ地面が出ている箇所の方が多い。しかし薄い雪や落ち葉の下が露岩になっている所があり、そんなところはツルツル滑る。登りはいいが下りは気をつけねば。標高1300m前後は傾斜が急で余計に足が滑った。気温は-10℃まで下がり厚手の手袋でも指先が痛いくらいに冷えたのでオーバーミトンを着用。

1370m肩 1476m三角点肩

 1370m肩で傾斜が緩むといよいよ積雪が連続するようになり、1歩踏み出して体重をかけるとコンスタントに足首まで沈むようになったので背中のスノーシュー装着。さすが接地面積の差が大きくほぼ踏み抜きが無くなって快調に足が出る。それと同時に南斜面の赤松は見えなくなり1476m三角点肩より先は完全に赤松は無くなり唐松が主体になった。もちろん三角点は雪の下で跡形も無い。

カモシカの足跡 まだ凹みが分かる
唐松植林帯 この標高(1450mくらい)で-14℃!

 平坦部から登りにかかるとカモシカのラッセル痕が尾根上に延びている。こちらはスノーシューなのでほとんど沈まない。登りでもほとんど汗をかかない寒さで、と顔が痛いくらい寒さで温度計を見たら-14℃だった。げげ、こんな気温は初めてだ。こりゃ山頂に到着したら-15℃か?なんて考えたが、実際はこの後気温が上がって-10℃で落ち着いた。

山頂近くの平坦地 大明神山山頂

 傾斜が緩んで尾根がだだっ広くなると山頂は近く、最高点目指して唐松植林帯を登りきるとシラビソの下に石碑が見えた。これより先は低くなっており間違いなく大明神山山頂だ。DJFのリボンがあるはずではと探し回ったが発見できず、もしやここは山頂とは違うのか?と心配になってGPSの電源を入れて地形図の緯度経度と付き合わせたらピッタリだった。まさか山名事典の山頂は別の場所かと疑ったが、少なくとも地形図を見る限りではここが山頂としか思えない表記だから、やっぱここが山頂でいいだろう。なお、D下山後にJFの記録を読んだら間違いなくここが山頂であった。リボンを残さなかったのか?

お社 小さな石碑

 「御嶽神(社と続くが雪に埋もれていた)」と書かれた石碑が一番大きく、ずっと小ぶりの石碑が4,5個、それに雪に埋もれた小さなお社もあった。以前は地元の人が信仰登山に訪れていたのだろうが、時代が変わってそのしきたりも廃れて登る人もいなくなり止め山までは人は入っても大明神山まで登る人はほとんどいないのかも。あの掘れた道は大明神山への参道だったのだろう。

樹林の隙間から真っ白な霧氷 下山時の893.5m三角点より穴沢山方向

 気温が-10℃、完全に雪雲の中で日差しは皆無で冷たいガスが漂っており休憩する気分ではないし体力的にも余裕があったので休憩無しできびすを返した。標高1300mでスノーシューを脱いで下ったが、雪があるところは雪でブレーキをかけて摩擦を稼ぎ膝への負担を減らせたが、雪が無い凍った急斜面は案の定良く滑って木に掴りながら下った。いつの間にか天候は回復してきたようで893.5m三角点からは晴れた穴沢山が見えた。

 唯一付けた自分の目印で東尾根を外れて左手の斜面を下って車に戻った。

 

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